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【獣医師監修】犬が血尿をした時の原因は?病気や治療法・予防方法を解説

大切な愛犬のおしっこに血が混じっているのを発見した際、慌ててしまう方がほとんどだと思います。血尿には様々な原因があるので、尿の状態だけではなく、他に出ている症状や愛犬の様子と合わせて判断することが大切です。今回は、愛犬が血尿をした時の原因や考えられる病気、治療法や予防方法などを詳しく解説していきます。

犬、見つめる、野外

犬の血尿とはどんな状態?

犬、2匹、オムツ


血尿とは、尿に血液が混じっている状態で、色合いは、赤色、赤褐色、オレンジ色、ピンク色などさまざまです。泌尿器は腎臓から始まり尿管、膀胱、尿道までを指し、それらを経て体外に尿を排泄します。血尿の色合いが変わる理由は、出血している原因や部位が変わるからであり、出血の程度によっても色合いは異なります。
犬の血尿はシーツの色などによってわからないことがあります。 頻繁にトイレに行ったり、外陰部を気にするなど、愛犬の行動から血尿が疑われた場合は、ペットシーツを白にしたり、排尿後にティッシュを押し当ててみるといった方法で確認してみてください。

犬が血尿を出す時の原因・病気

犬、コンクリート


犬の血尿の原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
また、血尿の原因として考えられる代表的な病気を4つご紹介します。
愛犬の行動と照らし合わせて、チェックしてみてください。

膀胱炎・膀胱腫瘍

犬の血尿の原因で最も多いのが膀胱炎です。
膀胱炎の初期症状で目につくのは、「頻尿」と「残尿感」です。残尿感については、常に尿意を感じているので、膀胱がほとんど空の状態でも排尿姿勢をとることで確認できます。
排尿が終わったはずなのに、排尿姿勢をとっている場合は膀胱炎を疑ってください。
重症化すると腹痛・発熱などを伴う「腎盂腎炎」になってしまうこともあるので、早期発見・治療が重要です。膀胱炎になる原因は細菌感染がほとんどだと言われています。

また、膀胱腫瘍でも血尿が出ることがあります。犬の膀胱に発生する腫瘍で最も多いのは「移行上皮癌」です。症状は血尿や頻尿、排尿困難など膀胱炎と類似しているため、気づかずに症状が進むとリンパ節や肺に転移し、腫瘍によって尿路が塞がれて急性腎不全を発症する恐れがあります。

レプトスピラ症

レプトスピラ症は、レプトスピラという細菌の感染により引き起こされる病気です。
感染すると発熱や血尿、黄疸などの症状を引き起こし、急速に進行して死に至ることもある恐ろしい病気です。この病気はワクチンで予防できるので、ワクチン接種することをおすすめします。

尿路結石症

尿路結石症とは、尿に含まれるカルシウム・マグネシウムなどのミネラル成分が結晶化し、腎臓、膀胱、尿道などの泌尿器で結石となり、さまざまな症状を引き起こす病気です。
尿結石が発生する原因は様々で、細菌感染の他、ミネラルやビタミン類の不足や、尿が酸性になってもできやすくなると考えられています。それ以外にも、遺伝的な代謝異常が原因で発生することもあります。
尿路結石症になると、頻尿、血尿、排尿時の痛みなどの膀胱炎のような症状がみられるほか、発熱や食欲不振などがみられることもあります。特に気をつけたいのは、結晶が本格的に結石に変わり、尿道に詰まってしまう場合です。男の子の場合、陰茎部分で尿道が細くなるため、小さな結石でも尿道を塞いでしまうことがあります。この場合は、命に関わることもあるので早急な治療が必要です。

急性腎不全

急性腎不全とは、腎機能の急激な低下によって発症し、腎臓が正常に働かなくなった状態です。急性腎不全は、短期間で重篤な状態になるため、早急に治療を始めることで回復する可能性がありますが、一方で腎障害が重篤であったり、治療が遅れた際には死に至る恐ろしい病気です。症状として、元気がなくなる他、嘔吐、下痢、血尿、血便などが挙げられます。
急性腎不全になると必ず血尿が出るわけではありませんが、尿路結石が引き金となって急性腎不全が引き起こされた場合は、血尿が出るケースが多いです。その他の急性腎不全の原因としては、レーズンやブドウなどの中毒性のあるものを食べてしまい、発症することもあります。
急性腎不全は早期発見、治療が非常に大切です。血尿だけでなく、嘔吐や下痢、脱水など腎不全を疑いような症状が見られたら、早急に動物病院へ連れていきましょう。

急性腎不全の他にも、腎炎、腎腫瘍、腎結石でも血尿の症状が表れます。
血尿が出た場合は、腎臓に何かしらの問題が起こっていると考えてもよいでしょう。

男の子特有・女の子特有の原因

性別特有の原因で血尿が発生する病気も存在します。

男の子の場合だと、前立腺の疾患で血尿が出ることがあります。前立腺は副生殖器とも呼ばれ、膀胱の真下に位置します。例えば、この前立腺が炎症を起こす「前立腺炎」になると発熱や元気がなくなるほかに、血尿が出る場合もあります。前立腺炎の主な原因は、男性ホルモンによって腫れる前立腺肥大であり、去勢前の犬で異常が起こるケースが多く見られます。したがって、去勢手術を行うことで、大部分の前立腺や精巣の病気は予防することができます。

女の子の場合だと、膣炎や子宮蓄膿症、子宮内膜炎などの生殖器疾患により、血尿が出ることがあります。膣炎は排尿部位である膣の内部に炎症が起きてしまい、出血をしてしまう疾患で、細菌感染やウイルス、腫瘍性のものが多いです。子宮蓄膿症や子宮内膜炎は避妊手術を行うことでほぼ100%予防できます。

犬の血尿と間違いやすい症状

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血尿と見た目は非常に似ているのにも関わらず、別の問題で「赤いもの」が見られることがあります。血尿かどうか見分けづらいのですが、犬の血尿と間違いやすいその他2つの症状をご紹介します。

メスの発情出血

女の子の発情期には、陰部から出血があり、尿に血液が混じることがあります。
そのため、発情期の際には血尿がみられても心配する必要はありません。発情出血の期間が終わると、尿内に血液が混じることもなくなります。この期間の出血が気になる場合は、オムツを使用することもおすすめです。また、発情出血は避妊手術をすることでなくなります。

血色素尿

出血はないものの、尿の中に赤血球の成分のヘモグロビンが多く含まれている場合も尿の色が赤くなります。この状態を「血色素尿」といい、何らかの理由で赤血球が壊れる「溶血」が起こっている疑いがあります。例えば、赤血球内に寄生する原虫に感染した犬バベシア病や、タマネギ中毒などが挙げられます。

犬の血尿を見つけた場合の対処法

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発情期以外に血尿が見られたら、早急に動物病院を受診しましょう。
血尿の状態を記録しておくと、診察がスムーズにいくことが多いのでおすすめです。

チェックポイントとしては以下が挙げられます。

  • 血尿がいつから見られたか
  • 尿の色合い
  • 排尿の頻度
  • 1回の排尿の量はどれくらいか
  • 食欲不振ではないか、元気があるかどうか

また、排泄した尿の写真を残しておくのも良いでしょう。

犬の血尿の検査・治療方法

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犬の血尿の対処法や治療法は原因によって異なります。そのため、愛犬に血尿の症状が見られたら、早急に動物病院を受診して必要な検査と治療を受けましょう。
動物病院では、まず尿検査を行い、血尿の状況や尿の性状を確認します。細菌が問題に関係しているかを調べるための尿培養を勧められることもあります。また、合わせて犬の身体検査、血液検査、X線検査、超音波検査も状況に応じて実施されるでしょう。

尿路結石症が原因で血尿が出ている場合は、結石の種類にもよりますが、基本的に投薬治療や食事療法を行います。薬で結石を溶かす治療をしたり、抗生物質が処方されることもあります。尿路結石が大きすぎる場合は、外科手術で結石を取り除くこともあります。

検査の結果、膀胱炎などの細菌が原因となっている場合は、抗生物質で治療するのが一般的です。

このように、原因に合わせた適切な治療を行うことが必要になります。

犬の血尿の治療期間

血尿の治療期間は、原因となっている病気によって異なります。
ほとんどの場合、原因が確定し、きちんとした治療を行うことで1週間ほどで回復するケースが多いですが、膀胱炎の場合は1〜2週間程度で治ることが多いです。 また、結石や膀胱腫瘍などを取り除く外科手術を行った場合は、入院が必要となるので2週間弱はみておきましょう。正確な排尿が確認できれば退院となります。

犬の血尿の治療にかかる費用

血尿でよく使用される薬として、止血剤や抗炎症剤が挙げられます。膀胱炎のような細菌に感染している場合は、抗生物質を使用します。また、血尿の原因を確定させるために検査の費用も含むので、大体1〜3万円となることが多いでしょう。

一方で、尿路結石や膀胱腫瘍などの摘出を行う外科手術の場合は、入院費用を踏まえると10万円を超えることが一般的になります。場合によっては20〜30万円かかることもあることを覚えておきましょう。

尿路結石の治療では、食事療法をすることが多いのですが、療法食の価格の相場は、3kgで6,000円ほどとなっています。

犬の血尿を予防するには?

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血尿の症状を伴う病気から愛犬を守るには、日々の生活管理がとても重要になります。
尿路結石症や膀胱炎は、細菌に負けない免疫力を保つことが大切です。
ストレスを溜めさせないようにコミュニケーションを積極的にとることはもちろん、尿の量が減らないように飲水量を増やすことも予防策として効果的です。

また、腎臓に負担をかけない食事をすることも効果的です。
食事の塩分を控え、タンパク質・カリウム・リンを取りすぎないようにすることがベストなので、獣医師に相談するなどして、適切な食事管理を行うようにしましょう。

愛犬のもしもに備えてペット保険も検討しよう

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血尿の原因となる疾患にはさまざまなものがあり、一つひとつ治療方法も異なります。
特に尿疾患は再発がしやすい病気も多く、重症化した場合には高額な手術が必要になることもあります。

愛犬と1日でも長く過ごすために、もしもの時に備えてペット保険に入ることをおすすめします。高額になりがちなペットの診療費に備えることで、いざという時に十分な治療を受けさせることができます。

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まとめ

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今回は、愛犬が血尿をした時の原因や考えられる病気、治療法や予防方法などを詳しく解説しました。血尿のほとんどが愛犬の病気のサインです。早めに気づいて動物病院で診てもらうことで、重症化する前に適切な治療を受けることができます。
また、ペット保険に加入することで、もしもの時に安心して治療ができます。ペット保険にはさまざまなプランがあり、どれも補償内容が異なるので、愛犬がかかりやすい病気を理解し、必要性に応じたペット保険を選べるようにしましょう。

アルファ動物病院院長鍋島先生

監修獣医師

鍋島淳 (アルファ動物病院院長)

東京大学卒業後、同大学付属動物病院にて研修。
1979年東京都葛飾区に動物病院を開院、院長に。現在に至る。
東京都獣医師会所属。

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