猫の認知症の症状は?原因、治療・ケア方法を紹介
年齢を重ねた愛猫が見せる意外な行動の変化、それは単なる老化のサインではないかもしれません。高齢になった猫にしばしば見られる認知機能障害、一般に「猫の認知症」と呼ばれるこの状態は、人間のアルツハイマー病に似た症状を示します。
猫の認知症は、飼い主として直面することのある一つの重要な健康問題です。
この記事では、猫の認知症の兆候、原因、そしてケア方法について、深く掘り下げていきます。
猫の認知症の症状
早速、猫が認知症になった際に見られる症状について4つご紹介します。
愛猫に少しも当てはまることがあれば、要チェックが必要です。
性格や食事の好みが変化した
猫が認知症になると、認知機能の低下により、食事の好みや性格が変化することがあります。以前好んでいた食べ物を食べなくなったり、新しい食べ物に突然興味を示します。
また、普段は社交的で人懐っこい性格をしていた猫が、引っ込み事案や攻撃的になることもあります。
トイレ以外の場所で粗相をしてしまうようになった
猫が認知症になると、トイレ以外の場所で粗相をしてしまうことがあります。
認知症のため、トイレの場所を忘れたり、トイレに行くタイミングを見失ってしまったりするようになるためです。
また認知症によって引き起こされる不安やストレスが粗相の原因になることがあります。
大きな声で夜鳴きする・同じ場所を徘徊する
大きな声で夜鳴きしたり、徘徊行動が活発になったりすることも認知症で見られる症状の一つです。認知機能の低下により、自分がどこにいるのか、何が起こっているのかを理解できなくなり、それが大きな鳴き声や徘徊行動に繋がります。
徘徊中に迷子になったり、家具にぶつかってケガをしたりすることもあるので注意が必要です。
名前を呼んでも反応しなくなった
猫の認知症に関する症状のひとつとして、飼い主が名前を呼んでも反応しないことが挙げられます。認知症によって記憶力や認識能力が低下することで、周囲の刺激に対する反応が鈍くなってしまうことが原因です。
猫の認知症の原因
猫の認知症の原因としては、高齢による脳や自律神経の衰えが挙げられます。
なかには人間と同様に脳の病変が原因で発症するケースもあります。
アルツハイマー病もそのなかのひとつです。
アルツハイマー病は、脳内での神経細胞の死滅や神経間の通信の障害を特徴とする進行性の神経変性疾患です。
また、脳血管障害による認知症が発症する場合もあります。これは人間の脳卒中に似た状態であり、恒例の猫に見られることが多いです。
猫におけるこの状態はまれではあるものの、発生すると猫の認知能力や行動に大きな影響を与える可能性があります。
脳血管障害は、特定の健康状態や病気によって引き起こされることがあります。
高血圧や心疾患、慢性腎臓病などの疾患がある猫の場合は要注意です。
動物病院での猫の認知症の検査・治療方法
愛猫に認知症の症状が見られた場合、病院で検査・治療を受ける必要があります。
ここからは、動物病院での認知症の検査・治療方法についてご紹介します。
検査
猫の認知症の検査をする場合、他の病気を除外した上でその子に合わせた検査が行われます。ただし、まずは病歴の聞き取りや、身体検査を行なっていきます。獣医師は、猫の行動の変化、食欲、睡眠パターン、トイレの使用習慣、徘徊行動、無駄鳴きなどについて飼い主からの情報を収集します。
認知症は神経系の病気と似ているため、視覚・聴覚を含んだ神経検査も行います。場合によってはMRIやCTスキャンなどをとることもあります。
治療方法・指導内容
猫の認知症治療は現在のところ根治治療ではなく、主に症状の管理と現状維持に焦点を当てて行われます。主な治療方法は以下の通りです。
・薬物療法
基本的に認知症に対する特効薬は存在しませんが、病気の進行を遅くするために薬物療法を行う場合が多いです。脳内におけるドーパミン生成量を増やす薬などが主に用いられます。
・食事療法
サプリメントや抗酸化作用を強化したフードが、アルツハイマー予防にいいとされています。そのため、初期段階ではフードでの改善を試みることも多いです。
・ストレスの軽減
ストレスは認知症の進行を早めてしまう原因になるので、愛猫のストレスがかからない環境作りも大切です。心穏やかに過ごせる場所を整えてあげるなど、愛猫の体力や状態に合わせてあげてください。
注意した方がいい猫の症状
ここからは、注意した方がいい猫の症状についてご紹介します。
認知症の症状についてお伝えしたように、以下のような症状が見られたら認知症の可能性があります。
- 食べ物の好みが変わった
- トイレ以外の場所での粗相が増えた
- 夜中に無駄鳴き、夜鳴きをするようになった
- 徘徊行動が活発になった
- 食事をした後すぐに食べようとする
- 名前を呼んでも反応しない
- 暴力的になった、人嫌いだったのに懐くようになった
このような症状が一つでも見られた場合は、動物病院に早めに連れて行くようにしてくださいね。
認知症にかかりやすい猫の特徴は?
認知症にかかりやすい猫の特徴は、高齢であることです。
猫の認知症は10歳を過ぎた猫によく見られ、15歳以上では約半数の猫に何らかの症状が現れるとされています。
猫の認知症の予防方法
ここからは、猫の認知症の予防方法について解説していきます。
愛猫が少しでも長く健康に過ごせるためにも、日々の予防を行うようにしましょう。
適度な脳への刺激
猫の認知症を予防するには、適度な脳への刺激が重要です。
例えば、猫じゃらしや他のおもちゃを使った遊びは、猫の問題解決能力や注意力を鍛え、認知スキルを維持するのに効果的です。
また、猫との遊びやコミュニケーションはストレスを軽減し、孤独感を減らす助けになります。新しいおもちゃや遊び方を導入することで、愛猫の生活に新鮮さをもたらし、脳を活性化できます。
適切な脳の刺激は、猫の認知症予防において不可欠であり、愛猫の健康を維持する上で重要な役割を果たします。
ストレスフリーな生活
猫の認知症予防において、ストレスフリーな生活を提供することは非常に重要です。
ストレスは猫の脳にも影響を及ぼし、認知能力の衰えに繋がることがあるからです。
特に年をとった猫はストレスを抱えやすく、それが認知症のリスクを高めることがあります。
ストレスフリーな環境づくりのために、猫が安心してリラックスできる場所を作ってあげましょう。簡単に行けるトイレや十分な水と食料の確保などを心がけてください。
また、獣医師に定期的に猫のストレスレベルをチェックしてもらうのも効果的です。
適度な運動と日光浴
猫の認知症予防において、適度な運動と日光浴が重要です。適度な運動は、猫の筋力や体力を保つだけでなく、ストレスを軽減し、体重管理にも役立ちます。
これにより、猫の総合的な健康が促進され、脳の活性化を通じて認知機能の低下を防げます。
日光浴は、猫に自然なビタミンDを与え、骨の健康を促進します。
さらに、日光にさらされることで猫の気分が高揚し、体内時計が調整されるため、健康的な睡眠パターンが促進されます。
これらの活動を猫の日常生活に取り入れることで、猫が高齢になっても活動的で健康を維持し、認知症を予防できるでしょう。
食事及びサプリメント
猫の認知症の予防において、バランスの取れた食事と栄養補助剤が重要な役割を果たします。これらは、猫の総合的な健康を支え、認知機能の低下を軽減する助けになります。
特に、高齢猫向けの食事は、脳の健康をサポートする栄養素であるオメガ3脂肪酸、抗酸化物質、B群ビタミンなどを含んでいることが望ましいです。
さらに、オメガ3脂肪酸や抗酸化剤を含む栄養補助剤も、認知機能の低下を緩和するのに役立ちます。
また、高齢の猫は水分摂取が不足しがちなので、適切な水分補給が重要です。
ただし、栄養補助剤を導入する前には、必ず獣医師と相談し、猫の健康状態やニーズに合わせた選択を行うようにしてください。
猫の認知症のケア方法
どんなに予防をしていたとしても、愛猫が認知症になってしまうことはあります。
ここからは、猫の認知症のケア方法についてご紹介します。
無駄鳴きや夜鳴きに対するケア方法
猫の無駄鳴きや夜鳴きに対処するには、まず猫が安心して過ごせる環境を整えることが大切です。
猫がリラックスできる場所を提供し、一人きりになれる場所をしっかり確保しましょう。昼間には猫が十分な活動をし、遊んだり運動したりしてエネルギーを消費させることが、夜間の睡眠を促進します。また、夜間に猫が不安にならないよう、穏やかな音楽を流したり、薄暗い照明を使ったりすると効果的です。
症状が深刻な場合や他の健康問題が疑われる場合は、必ず獣医師の診察を受けるようにしましょう。鳴き声が大きすぎて、家族の生活に支障が出てしまう場合は、鎮静剤や抗不安薬などを処方してもらうこともできます。
トイレの失敗に対するケア方法
認知症の猫に多い、トイレの粗相についてもケアしていきましょう。
まず、家の中に複数のトイレを設置し、猫がトイレを見つけやすくするようにしてください。
トイレは、猫がよく過ごす場所の近くに設置するのがベストです。
また、トイレの縁が低く、入りやすいデザインのものを選ぶことがおすすめです。
猫が粗相をした場合は、優しく対処し、決して叱らないようにしてください。
叱ることは猫のストレスを増加させ、状況を悪化させる可能性があります。
また、猫が定期的にトイレに行けるよう、日中は定期的にトイレへの誘導を試みると良いです。猫の状態が変わったと感じた場合は、獣医師に相談し、健康状態を確認することも重要です。
今までできていたことができなくなって不安なのは、愛猫も同じです。
トイレが上手くできなくなっても、怒鳴るようなことはないようにしてください。
生活習慣を改善させるケア方法
愛猫の認知症のケアとして、生活習慣を改善させることも重要です。
夜鳴きを防止するために、お昼に目一杯遊んで昼夜逆転生活を改善させたり、起床リズムを保てるようにしましょう。
しつけや遊ぶ際には積極的に声をかけて、脳に刺激を与えてください。
また、愛猫のケアのひとつとして、環境を整えることも大切です。
排泄の失敗に備えて、事前にオムツを着用したり、愛猫が迷子にならないようにサークル内で遊ばせたりなど、対策してあげましょう。
家の中でぶつかったり転んだりしてもケガがないように、低反発のクッションやマットレスをおいてあげるのも効果的ですよ。
愛猫のもしもに備えて保険に加入しましょう
猫の認知症は、完全に治ることがないため、生涯通院する必要があります。
また、猫の病気やケガは、予兆なくいきなりやってくることもあります。突然の手術で高額な医療費がかかる場合もあるでしょう。
そんな愛猫の"もしも"の時のために、ペット保険に入ることをおすすめします。高額になりがちなペットの診療費に備えることで、いざという時に十分な治療を受けさせることができます。
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※ネクストとライトは、50%プラン・月払・インターネット割引・免責額適用特約セットの場合。ミニは70%プランのみ。インターネット割引は継続時には適用されません
まとめ
今回は猫の認知症の原因や治療、ケア方法について解説しました。
15歳以上の猫の半数以上がかかると言われている認知症。認知症の進行を遅らせるためには、少しでもおかしいと思ったら病院に連れて行くことが大切です。
また、ペット保険に加入していれば、もしもの時に安心して治療ができます。ペット保険にはさまざまなプランがあり、どれも補償内容が異なるので、愛猫がかかりやすい病気を理解し、必要性に応じたペット保険を選べるようにしましょう。