猫に牛乳を与えるのはNG?与え方や注意点、与える効果について解説
愛猫の栄養補給のために、牛乳を与えたいという飼い主さんもいらっしゃるでしょう。しかし、実は人間が飲む牛乳を与えてよいわけではありません。猫は牛乳を消化吸収するのが難しく、下痢になってしまう可能性があります。そのほか、病気やアレルギーを引き起こすリスクもあるため、注意が必要です。
今回は、猫に牛乳を与えるのを控えた方がよい理由や、ペット専用ミルクの与え方、ペット専用ミルクが役立つ場面などを解説します。

- 猫が牛乳を飲むのはNG?
- 牛乳で症状のある猫には食物アレルギーの可能性も?
- 猫向けの専用ミルクならOK?与え方とポイント
- 猫に専用ミルクを与える効果やメリットはある?
- 愛猫の「もしも」に備えてペット保険も検討を
- まとめ
猫が牛乳を飲むのはNG?

ドラマや漫画などで、猫がミルクをペロペロと飲んでいる様子を見たことがある方は多いでしょう。「猫は牛乳が好き」と思っている方もいらっしゃるはずです。牛乳といえば、カルシウムやタンパク質をはじめとする栄養素が豊富に含まれており、人間にとっては健康的な飲み物ですよね。
しかし、実は猫の体にとって良い飲み物ではありません。猫が牛乳を飲むと、下痢を引き起こしてしまうケースが見られます。
牛乳には、乳糖(ラクトース)という成分が含まれています。猫は、この乳糖を分解する能力があまり高くありません。乳糖を分解するための酵素(ラクターゼ)の活性が低いのが特徴です。そのため、乳糖を消化吸収できず、消化できなかった乳糖が腸の中で水分を引き寄せて下痢を引き起こしてしまいます。これを「乳糖不耐症」と呼びます。
猫に牛乳を与えると肥満の原因にも
牛乳は、猫の肥満を招くというリスクもはらんでいます。哺乳期を過ぎた猫に、水の代わりとして牛乳を与えると、栄養過多となって肥満の原因にもなります。食欲がないときの応急処置として少量を与えるなら問題ない場合もありますが、普段の食事にプラスで牛乳を与えたり、牛乳を日常的に与えたりするのは控えましょう。
また、牛乳は、あくまでも牛のミルクであって、猫の成長に必要な栄養素が含まれているわけではありません。子猫の成長に必要なタンパク質や脂肪分などが不足しているため、牛乳だけで育てようとすると、栄養が偏ってしまう点にも注意が必要です。
心臓や腎臓障害など負担が大きい
牛乳には、タンパク質・脂質・カルシウム・マグネシウム・ナトリウムなどの栄養素が含まれています。これらをバランスよく摂取しないと、心臓や腎臓に負担を与える原因になります。
特に、ナトリウムは心臓や腎臓に大きな負担を与えます。中でも高血圧の猫には大きな悪影響を与えるため、注意が必要です。
そのほか、カルシウムの過剰摂取によって高カルシウム血症を引き起こす可能性もあります。さらに、尿石症を患っている猫は、マグネシウムを控える必要があるため、牛乳の摂取は避けるべきです。
このように、牛乳に含まれる栄養素は、猫の心臓に負担を与えたり、腎臓障害やそのほかの疾患を引き起こしたりする危険性を持っています。そのため、牛乳を与えるのはおすすめできません。
牛乳で症状のある猫には食物アレルギーの可能性も?

猫の中には、牛乳で食物アレルギーを発症してしまう個体も存在します。嘔吐や下痢、皮膚のかゆみといった症状が見られる場合は、食物アレルギーを疑いましょう。
下痢に関しては、食物アレルギーよりも乳糖不耐症が原因で起こる可能性が高いです。一方、皮膚症状は食物アレルギーならではの反応であるため、皮膚症状の有無を判断材料にするとわかりやすいでしょう。
牛乳や乳製品以外にも食物アレルギーを持っている可能性があるため、動物病院に相談してアレルギー検査をしてもらうと安心です。
乳製品ごとに見る乳糖量の違いと注意点
同じ乳製品でも、含まれる乳糖は異なります。以下に、代表的な乳製品の乳糖量と、猫に与える際の注意点をまとめました。
乳製品 | 乳糖量 | 注意点 |
---|---|---|
チーズ | 製造工程で乳糖がほとんど除去されている (ただし、リコッタチーズは乳糖があまり除去されていないため、注意が必要) |
カロリーが高いので、肥満に注意が必要 カルシウムが多く含まれており、尿石症を引き起こすリスクがある |
ヨーグルト | ホエイ(ヨーグルトの上澄み部分のこと、乳清)には乳糖が多く含まれている
乳酸菌が乳糖を分解するため、牛乳よりも乳糖による影響は少ない傾向にある |
ホエイを取り除いた状態で与える
乳糖が含まれていないわけではないため、注意して与える |
脱脂粉乳 | 牛乳から脂肪分と水分を除いたものであり、大量の乳糖が含まれている | 牛乳の10倍近い量の乳糖が含まれているため、与えないようにする |
ソフトクリーム | 乳糖は除去されていない | 大量の砂糖を使用しており、カロリーが高いためNG |
猫向けの専用ミルクならOK?与え方とポイント

生後2ヶ月程度の子猫や、愛猫がミルクを飲みたがる場合には、猫向けの専用ミルクを選びましょう。猫用のミルクは、乳糖がカットされているため、乳糖を分解できない猫にも問題なく与えられます。さらに、猫の成長に必要な栄養素も含まれており、栄養が偏ることもありません。
ここでは、猫向けの専用ミルクの与え方やポイントについて解説します。
ペット用の牛乳の与え方
ペット用のミルクには、パウダータイプやリキッドタイプ、栄養成分が添加されているものや脂肪分を控えめにしたものなど、さまざまな種類があります。年齢やライフステージ、目的などに合わせて、適切な商品を選びましょう。
リキッドタイプのミルクは、溶かす手間なく与えられるのがメリットです。一方、パウダータイプのミルクは、粉末になっている分保管がしやすく、フードに混ぜて与えられるのもメリットです。なお、手間を省こうとパウダータイプのミルクを作り置きするのは、衛生上の問題からNGです。
ペット用ミルクは、基本的には子猫や食欲がない猫、シニア期の猫が栄養を摂取するために飲むものです。健康な成猫の場合、必ず与えなければならないものではない点を理解しておきましょう。
ミルクの温度調節のコツ
猫にミルクを与えるときは、常温のものを使用しましょう。
パウダータイプの場合、水や熱すぎないお湯で溶かし、人肌程度の温度にした状態で与えてください。
リキッドタイプの場合、基本的には常温で売られているため、はじめて与える際はそのままで問題ありません。しかし、開封後は冷蔵庫で保管するため、2回目以降は温度調節が必要です。電子レンジで温めるか、ぬるめのお湯で割りましょう。
ヤギミルクもOK?
ヤギミルクは、牛乳よりも乳糖量が少ないとされています。そのため、比較的下痢になりにくいのが特徴です。
また、猫の母乳に近い成分が含まれているとも言われています。牛乳に比べると、タウリンやカゼイン、カリウムといった栄養素が多く含まれているのがポイントです。
消化も良いため、シニア期の猫にも与えやすいでしょう。
しかし、乳糖が含まれていることに変わりはないため、はじめて与える際や、ヤギミルクの量には注意が必要です。
猫に専用ミルクを与える効果やメリットはある?

猫にペット用のミルクを与えることには、以下のような効果やメリットがあります。
- 食欲がないときに役立つ
- 水分補給に役立つ
- おやつ代わりになる
ここでは、それぞれのメリットについて解説します。
食欲がないときに役立つ
食欲がないときや、老齢期の猫の栄養補給として、猫用ミルクが役立ちます。栄養補給を目的にミルクを与えるときは、栄養成分を添加したものを選びましょう。
ただし、食欲不振の原因がわからない状態でミルクを与えるのは控えてください。何らかの病気や体の不調で食欲がない場合は、その原因を取り除く必要があります。猫用ミルクを与えた結果、体調がかえって悪化してしまう可能性もあるため、まずは動物病院に相談しましょう。
水分補給に役立つ
猫は、もともと獲物から水分を摂取していたため、水をあまり飲まない生き物です。しかし、ドライフードを与えていると、どうしても水分が不足してしまいます。水分が足りないと、尿石症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。夏場は熱中症になってしまうリスクもあります。
ミルクを与えることで、水をあまり飲もうとしない猫の水分補給に役立ちます。
おやつ代わりになる
ペット用のミルクは、おやつ代わりにも重宝します。ミルクの匂いや味を好む猫が多く、フードをなかなか食べてくれない猫や水をあまり飲もうとしない猫も、抵抗なく飲んでくれるでしょう。
愛猫の「もしも」に備えてペット保険も検討を

愛猫が体調を崩し、入院や治療が必要になる可能性はゼロではありません。ペットには人間のような公的な保険制度がないため、医療費は全額飼い主の自己負担となります。
ペット保険に加入していれば、高額な医療費が発生する「もしも」の事態にも、安心して対応できるのが魅力です。
日本ペット少額短期保険株式会社が運営するペット保険「いぬとねこの保険」には、補償内容ごとに、以下の3つのプランがあります。
①プラチナプラン(通院・入院・手術)
②ゴールドプラン(通院)
③パールプラン(手術)
プラチナプランは、幅広い病気やケガのリスクに万全に対応できるプランです。通院・入院・手術をフルカバーで対応しており、回数上限・日額上限なしで利用できます。
ゴールドプランは、日々の通院治療を重視したい方におすすめのプランです。通院の回数上限・日額制限なしで利用できるため、長期の通院が必要になっても安心して対応できます。
保険料をなるべく抑えたいが、万が一のリスクには備えたい、という方には、手術のみをカバーするパールプランがおすすめです。保険料の負担を抑えながら、高額な費用がかかる手術にも対応できます。
なお、遺伝疾患は補償対象外としている保険がほとんどです。遺伝疾患以外の病気をどのくらいカバーしているかをチェックし、プラン内容や経済事情も考慮したうえで、自分にあったペット保険を選びましょう。
まとめ

猫にミルクを与える場合は、牛乳ではなく、ペット用のミルクを選びましょう。人間と猫では、体のつくりや必要な栄養素などが異なる点を理解したうえで、猫を育てることが大切です。
ペット用ミルクにはさまざまな種類があるため、年齢やライフステージ、目的に応じて適切なものを選びましょう。
繰り返しになりますが、猫に必ずミルクを与えなければいけないわけではありません。栄養や水分が不足していたり、ミルクを飲みたがったりする場合に、問題がなければ与えるようにしてください。
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