犬にかさぶたができる原因は?症状や予防法を紹介
愛犬にかさぶたができている場合は、怪我以外にもアレルギーや皮膚炎、皮膚がんなどさまざまな原因が隠れています。病気に気づけないまま放置してしまうと、症状が悪化して治療が難しくなってしまう可能性があるため、注意が必要です。今回は、犬にかさぶたができる原因や注意すべき症状、予防法や対処法などを解説します。

犬にかさぶたができる原因とは?

犬の皮膚にかさぶたを発見した場合、多くの飼い主は怪我を疑うでしょう。しかし、犬のかさぶたには、物理的刺激による外傷以外にもアレルギーや皮膚の炎症、皮膚がんなどさまざまな原因が考えられます。病気を発症している可能性もあるため、ただの怪我だと軽視しないようにしましょう。
まずは、かさぶたができる仕組みと、犬にかさぶたができる原因について解説します。
かさぶたとは
そもそもかさぶたとは、傷口から出た体液や膿、角質などが乾燥して固まり、皮膚の表面に付着したものです。医学的には痂皮(かひ)と言います。
皮膚が傷つくと、血小板や赤血球などが集まって血栓を作り、傷口をふさごうとします。このとき、血小板から分泌されるのがフィブリンという物質です。フィブリンは、空気に触れると乾燥し、膿や角質などとともに固まります。これがかさぶたです。
かさぶたは傷口をガードする役割を果たし、その下で傷ついた皮膚が治癒します。
皮膚は、表面から表皮・真皮・皮下組織の3つに分けられます。かさぶたは、炎症が真皮まで到達したときにできるのが特徴です。
物理的刺激による外傷
犬のかさぶたの原因としてよくあるのが、物理的刺激による外傷です。
同居しているペットと喧嘩をして噛まれてしまった、散歩中に怪我をしてしまったなどで皮膚に傷ができると、かさぶたができます。
アレルギー
アレルギーが原因でかさぶたができることもあります。
そもそもアレルギーは、特定の物質(アレルゲン)に対して免疫が過剰に反応してしまうことです。人間と同様に、犬も花粉や食べ物などに対してアレルギー症状を引き起こす場合があります。
アレルギーによって皮膚に炎症が起きると、強いかゆみを伴います。犬が皮膚をかきむしって出血してしまうことがあります。その後、傷口をふさごうとかさぶたができる、というわけです。
皮膚にアレルギー症状が起こりやすいアレルギーは、主に以下の3つです。
- 食物アレルギー
- アトピー性皮膚炎
- ノミアレルギー性皮膚炎
食物アレルギー
食物アレルギーは、特定の食べ物が原因で発症するアレルギーです。食べ物に含まれるタンパク質が皮膚に炎症を引き起こすと言われています。どのような食べ物でアレルギーを引き起こすのか、フードは何に切り替えればよいのかなどは、獣医師に相談しましょう。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、花粉やハウスダストなどが原因で皮膚に炎症が起こる病気です。遺伝的要因が大きく、特に以下のような犬種はアトピー性皮膚炎になりやすいと言われています。
- フレンチブルドッグ
- パグ
- シー・ズー
- 柴犬
- ゴールデン・レトリーバー
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
ノミアレルギー性皮膚炎
ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミの唾液がアレルゲンとなって発症する皮膚炎です。激しいかゆみを伴い、発疹ができることも少なくありません。皮膚炎の治療とともに、ノミの駆除を行う必要があります。
皮膚の炎症
細菌や寄生虫、カビなどに感染し、皮膚に炎症が起きてかさぶたができることもあります。
代表的な病気が膿皮症です。膿皮症とは、皮膚に細菌が感染し、かゆみや湿疹、脱毛などを引き起こす感染症です。膿皮症の主な原因は、ブドウ球菌という常在菌です。何らかの理由でブドウ球菌が著しく増加したり、皮膚のバリア機能が低下したりすることで、皮膚に症状が現れます。
皮膚がん
皮膚がん(腫瘍)が原因でかさぶたができることもあります。代表的なのが皮膚リンパ腫や扁平上皮癌です。
皮膚がんは、感染症やアレルギー症状との区別が難しいため、発見が遅れてしまう可能性があります。
初期に発見できれば外科手術での切除が可能ですが、多くの場合抗がん剤治療が必要です。寛解を目指すためには、早期発見と早期治療が欠かせません。
犬のかさぶたの症状

ここでは、犬のかさぶたの症状について、病院に行かなくても問題ない症状と病院を受診すべき症状に分けて解説します。
犬のかさぶたの主な症状
かさぶたは、基本的には自然に剥がれ落ちます。傷口が自然に治ってかさぶたが剥がれた場合は、特に心配する必要はありません。
病院に行くべき症状
以下の症状が見られる場合は、速やかに動物病院を受診してください。
- かさぶたがなかなか治らない/かさぶたが広がっている
- かさぶたが頻繁にできる
- かゆみが強くなっている
- 飼い主やほかのペットにもかゆみや炎症が起こっている
かさぶたがなかなか治らずどんどん広がっていたり、頻繁にできたりする場合は、何らかの疾患が隠れていると考えられます。犬自身の免疫では対処しきれなくなっているサインであるため、放置せず動物病院で治療を受けましょう。
日に日にかゆみが強くなっている場合も注意が必要です。何らかの疾患が原因であると考えられます。また、傷口を舐めたりかきむしったりしてしている場合は、かさぶたが剥がれて治りにくくなってしまいます。
飼い主やほかのペットにもかゆみや炎症が起こっている場合は、かさぶたの原因が感染症であり、感染が家庭内で広がっている可能性が高いです。細菌やカビ、寄生虫などを取り除くためには、動物病院での治療が必要です。飼い主にも感染している場合は、飼い主も病院を受診しましょう。
犬のかさぶたの予防法・対処法

ここでは、犬のかさぶたの予防法や対処法について解説します。
怪我の原因を取り除く
犬のかさぶたにはさまざまな原因が考えられるため、完全に予防するのは難しいでしょう。
しかし、怪我の原因を取り除くことは可能です。たとえば、以下のような予防法が考えられます。
- 散歩中に鋭利なものに触れないよう注意する
- 服を着せて散歩させる
- ドッグランでほかの犬と遊ぶ際は目を離さない
アレルギーや皮膚炎が原因のかさぶたを防ぐためには、以下のような方法が効果的です。
- 動物病院でアレルギー検査を行う
- 皮膚を清潔に保てるようお手入れする
- 愛犬が過ごすスペースはこまめに掃除をする
かさぶたは無理やり剥がさない
かさぶたを無理やり剥がすことは控えましょう。かさぶたを剥がしてしまうと、治るのが遅くなったり、かえって悪化したりする可能性が高いです。自然に剥がれ落ちるのを待ちましょう。
犬がかさぶたを舐めてしまう場合は、包帯や絆創膏で傷口を保護する、あるいはエリザベスカラーをつけてかさぶたに触れさせないようにすることが大切です。
ただし、飼い主の自己判断で包帯や絆創膏をつけると、蒸れて症状が悪化してしまう可能性があります。また、エリザベスカラーをつけることが犬のストレスとなり、かゆみが悪化してしまうことも少なくありません。
犬がかさぶたを気にしている場合は、どのように対処すべきか獣医師からアドバイスをもらいましょう。
人間用の薬を塗らない
かさぶたができたからといって、人間用の薬を塗るのはやめましょう。人間用の薬は、犬に使用することを想定していません。効果が強すぎて副作用が出たり、症状が悪化したりする恐れがあります。また、犬が口にしてはいけない成分が含まれている場合もあります。薬を塗った部分を舐めてしまい、体調に異変が起きる可能性も否定できません。
飼い主の自己判断で対処するのではなく、動物病院を受診して獣医師の判断を仰ぎましょう。
愛犬のもしもに備えて保険に加入しましょう

愛犬のもしもの怪我や病気のリスクに備えるためには、ペット保険に加入することがおすすめです。犬には人間のような公的な保険制度がないため、治療費は全額飼い主の自己負担です。ペット保険に加入することで、治療費の補償を受けられます。
いぬとねこの保険 保険料例


※ネクストとライトは、50%プラン・月払・インターネット割引・免責額適用特約セットの場合。ミニは70%プランのみ。インターネット割引は継続時には適用されません
まとめ

犬にかさぶたができた場合は、外傷やアレルギー、皮膚炎、皮膚がんなどさまざまな原因が考えられます。病気が隠れている可能性もあるため、「ただのかさぶただから」といって放置しないようにしましょう。かさぶたが自然に剥がれる場合は問題ありませんが、かさぶたがいつまでも治らない、日に日に症状が悪化しているなどの場合は、すぐに動物病院を受診してください。
かさぶたを完全に予防することは難しいですが、怪我をしにくい環境を整える、アレルギーの原因物質を取り除くなど、愛犬が安全かつ健康的に過ごせるようにしましょう。